1.Kali Eskrima Arnis - カリ・エスクリマ・アーニス -
カリ・エスクリマ・アーニスとはカリ、エスクリマ、アーニス、共にフィリピン発祥の伝統武術で、基本的には同じ武術を指します。カリ(KALI)の由来はフィリピンのビサヤ語で「手の動き」を意味し、エスクリマ((Eskrima) スペイン語でフェンシングを意味する「esgrima」に由来します。スペイン統治時代にこの名称が使われるようになりました。アーニス (Arnis) スペイン語で鎧を意味する「arnes」に由来します。フィリピンの国技としても知られています。カリ・エスクリマ・アーニスのこれらの武術は、棒やナイフ、素手での戦闘技術を含み、ディスアーム(相手の武器を奪う技術)や近接戦闘が特徴です。
2.Kali eskrima Arnis origin and history - カリ・エスクリマ・アーニス起源と歴史 -
カリ・エスクリマ・アーニスの起源はフィリピンの歴史と深く結びついており、アーニスはフィリピンの先住民が使用していた武術にさかのぼり、これらの技術は、部族間の戦闘や防衛のために発展しています。エスクリマの融合はスペイン統治時代の16世紀にスペインがフィリピンを統治するようになると、スペインの剣術「エスグリマ」がフィリピンの武術に影響を与えました。この時期に、アーニスはスペインの技術と現地の技術が融合して発展しました。名称の由来は「アーニス」という名称は、スペイン語の「アルネス(arnes)」に由来し、これは「鎧」や「装飾」を意味します。スペイン統治時代に、宗教劇の俳優が着用していた装飾品からこの名前が付けられたと言われています。
近代の発展ではアメリカ統治時代: 20世紀初頭、アメリカの影響下でアーニスはさらに発展し、スポーツとしての側面も強調されるようになりました。現在ではアーニスはフィリピンの国技として認められ、世界中で練習されており、特に、軍や警察の日本でも警視庁の訓練にも取り入れられています。
3.Kali eskrima Arnis skill history - カリ・エスクリマ・アーニス技術の変遷 -
カリはエスクリマとの融合によりアーニススタイルは様々な変化を遂げています。
3-1.エスパダ・イ・ダガ
有名なスタイルとして古典的エスパダ・イ・ダガ右手に剣(エスパダ)、左手にナイフ(ダガ)を持つスタイルがあります。スペイン剣術に由来し、複雑なフットワークと手技が特徴です。現代的エスパダ・イ・ダガ: 右手にスティック、左手にナイフを持つスタイル。スティックを使うことで、よりシンプルな動作が可能になりました。
3-2.コルト・オリジナル
19世紀後半に、海賊との戦いが減少し、アーニスは護身術や余暇の技術として発展しました。スティックを使うことで、近接戦闘(コルト)が主流となり、シンプルなブロック技術が普及しました
3-3.現代アーニス
現代では、アーニスはスポーツとしても発展し、フィリピンの学校教育にも取り入れられています。スティック、剣、ナイフ、素手、関節技などを総合的に学ぶことができます。
4.Kali Escrima Arnis Technique - アーニスの技術 -
アーニスはフィリピン発祥の武術で、スティック、ナイフ、素手などを使った多様な技術が特徴です。以下にいくつかの具体的な技術を紹介します。
4-1. スティック技術
①シングル・スティック
片手にスティックを持ち、攻撃と防御を行います。基本的な打撃、ブロック、ディスアーム(相手の武器を奪う技術)などが含まれます。
②ダブル・スティック
両手にスティックを持ち、より複雑な攻撃と防御を行います。シンクロナイズドな動きが求められます。
4-2. ナイフ技術
①エスパダ・イ・ダガ
片手に剣(スティック)、もう片手にナイフを持つ技術です。スペインの剣術に由来し、攻撃と防御を同時に行います1。
②プンタ・イ・ダガ
右手に剣、左手にナイフを持って戦う技術で、19世紀のアーニスの技術です。
4-3. 素手技術(バヌントゥカン)
パンチとキック: スティックやナイフの技術を応用し、突き、手刀、肘打ち、膝蹴り、頭突きなどを用います。又、関節技もあり相手の関節を極める技術で投げ技や締め技も含まれます。
4-4. ディスアーム
ディスアームは相手の武器を奪い取る技術です。カリの動きの最後には、相手の武器を振い落とす動きが見られます。
4-5. フットワーク
フットワークは素早い移動とポジショニングが重要です。古典的なエスパダ・イ・ダガから現代的な技術に変わるとフットワークやブロックがよりシンプルになりました。
5.Kali Escrima Arnis Differences and Commonalities - カリ・エスクリマ・アーニスの違いと共通点 -
アーニス、エスクリマ、カリは、フィリピンの伝統的な武術であり、基本的には同じ技術体系を指しますが、地域や歴史的背景によって異なる名称が使われています。以下に、それぞれの違いと共通点を説明します。
Kali - カリ -
地域: 主にフィリピンの南部(ミンダナオ島)で使われる名称です。
特徴: スティック、ナイフ、剣などの武器を使った戦闘技術が中心で、特にスティック(バストン)を使った技術が有名で攻撃的なスタイルが特徴です。カリという名称は、アメリカで普及する際に使われ始めました。武器を使った技術が基本となり、これを習得した後に素手の技術に進むことが一般的です。
Eskrima - エスクリマ -
地域: 主にフィリピンの中部(ビサヤ諸島)で使われる名称です。
特徴: スペイン語の「エスグリマ(フェンシング)」に由来し、スティックやナイフを使った技術が強調されます。特にスピードと精度が重視されます。
Arnis - アーニス -
地域: 主にフィリピンの北部(ルソン島)で使われる名称です。
特徴: スティック(バストン)を使った技術が中心で、素手やナイフの技術も含まれます。防御と攻撃のバランスが取れた技術体系です。
特徴: スティック(バストン)を使った技術が中心で、素手やナイフの技術も含まれます。防御と攻撃のバランスが取れた技術体系です。
Kali eskrima Arnis in common.
武器の使用: すべてのスタイルでスティック、ナイフ、剣などの武器を使用します。
素手の技術: 武器を使わない素手の技術も含まれ、護身術としても有効です。
フットワーク: 素早い移動とポジショニングが重要で、相手の攻撃を避けつつ反撃する技術が共通しています。
Kali eskrima Arnis Difference.
名称の由来: 地域や歴史的背景によって異なる名称が使われていますが、基本的な技術体系は非常に似ています。
技術の強調点: 地域によって、スティック、ナイフ、素手の技術のどれが強調されるかが異なります。
アーニス、エスクリマ、カリは、フィリピンの豊かな武術文化を反映しており、それぞれのスタイルが持つ独自の特徴と共通点を理解することで、より深い学びが得られるでしょう。
6.Baston - バストン -
バストンは通常、ラタン(籐)で作られています。ラタンは軽くて丈夫で、打撃に耐えることができるため理想的な素材とされています。
一般的なバストンの長さは約70cm(28インチ)です。ただし、流派や個人の好みによって長さは異なることがあります。バストンの形状は円筒形で、両端が丸くなっています。これにより、打撃時に手にフィットしやすく、操作がしやすく加工されています。
6-1.Kali eskrima Arnis Baston skills
主なバストンスキルとして次のものがあげられます。
①ストライク:
バストンを使った基本的な打撃技術です。斜め、水平、垂直など、さまざまな角度からの打撃が含まれます。
②スラスト:
バストンの先端を使って突く技術です。相手の急所を狙うことが多いです。
③ブロック:
インサイドブロック: 相手の攻撃を内側から防ぐ技術です。
アウトサイドブロック: 相手の攻撃を外側から防ぐ技術です。
④ディスアーム:
相手のバストンや他の武器を奪い取る技術です。相手の手首や武器を打ち、武器を落とさせることが目的です。
⑤フットワーク:
バストンを使った技術では、素早いフットワークが重要です。相手の攻撃を避けつつ、効果的に反撃するためのステップが含まれます。
6-2.Baston Traning
①パートナードリル
パートナーと一緒に基本的な打撃やブロックの練習を行います。これにより、実戦的な感覚を養うことができます。
②シャドウボクシング
バストンを使って一人で技術を練習する方法です。鏡の前で行うと、自分のフォームを確認しやすくなります。
③パディング
パッドやミットを使って打撃の練習を行います。これにより、打撃の精度と力を向上させることができます。
バストンは、アーニスの基本的な武器であり、その技術を習得することで、他の武器や素手の技術にも応用が利きます。興味があれば、地元のアーニス道場やオンラインのリソースを利用して、実際に練習してみると良いでしょう
6-3.Doble Baston(バストンの基本練習)
ドブレ・バストン(Doble Baston)の基本練習には、以下のようなものがあります:
①シナワリ(Sinawali):
これは、2本の棒を交互に振る基本的なパターンです。シニワリには、シングル、ダブル、リバースなどのバリエーションがあります。基本的な動きは、右手と左手で交互に斜めに打つことです。
②レドンダ(Redonda):
円を描くように棒を振る技術です。これは、連続した攻撃を行うための練習に適しています。
③アバニコ(Abanico):
扇のように広がる動きをする技術です。速い動きで相手を混乱させることができます。
④フローリコ(Florete):
短い円を描くように棒を振る技術で、相手の攻撃をかわしながら反撃するために使われます。
⑤ディスアーム(Disarm):
相手の武器を奪う技術です。ドブレ・バストンでは、2本の棒を使って相手の武器を絡め取るようにして奪います。
これらの技術は、基本的な動きから始めて徐々にスピードと精度を上げていくことが重要です
6-4.スティック(バストン)基本
それではスティックの基本練習を始めてみましょう。実際のカリ・エスクリマ・アーニスに入る前の準備運動として次のスティックの運動を10回~20回行います。
①シェイク・・・手首を縦方向に動かす運動です。
②アバニコ・・・手首とスティックを直角に持ち前腕の運動のみで打つ方法です。
③ソンキット・・・スティックの先端を相手に引っかけるように打つ方法です。
④バンダ・・・水平方向に打つ運動です。
⑤ローリング・・・スティックを回転させ手首の柔軟性を高める運動です。
7.ダブルスティック
スティックの持ち方は手首はパンチを打つ時のように一直線にして横から見たときにスティックと手首は直角になるように持ちます。スティックの持ち位置は小指からプニョ(棒の末端)まで5センチくらいあけます。手首をまっすぐにすることでソード(剣)を使ったときに刃があたるようにスティックを持ってください。
7-1.ドブレバストンコンビネーション
【コンビネーションパターン】
①シングル・シングル
右足前に右スティックは右肩に、左スティックは右懐にスティックを構えて、左スティックを中心線を通るように切り上げます。左スティックを左肩の位置に動かしたら右スティックを中心線を通るように切り下ろします。左手のスティックは切り上げる途中で手首を返さず、肘をしっかり伸ばすことがポイントです。
②ドブレ・シングル
切り上げは中心線を通り同じ軌道で2回。間を置かず、切り上げる手を追いかけ切り下ろし1回、肩と手首はリラックス。振ったスティックは肩と懐にしっかりと戻します。
③ドブレ・ドブレ
振るときはしっかりと肘を伸ばして手首と肩をリラックスさせます。斜めに切り上げ、振り下ろします(刃筋を意識)
この3パターンを組み合わせがドブレバストンコンビネーションです。
7-2.レドンダ・ストライク(3連続ストライク)
レドンダストライクについて説明します。構えは右足前に、右手はスティックを右肩に構えて【右肩の構え】左手は【右腰の構え】で構えます。
1打目は目標はコメカミを狙い右スティックを右ストライク、2打目は左手スティックを右ストライクを打ち、3打目は右スティックを頭の後ろを回して右ストライクを打ちます。3打目を打った後は、左手スティックを【左肩の構え】、右手スティックを【右腰の構え】になります。
その構えから前3打と同様に次は左手スティックから【左ストライク】を打ち、右スティックで【左ストライク】左スティックを図のように頭の後ろを回して3打目の左ストライクを打ちます。この時の構えは最初の右スティックは【右肩の構え】左スティックは【右腰の構え】となりこの運動を繰り返すことでレドンダ・ストライクの完成です。この3つのストライクで手・足・全身の協調性を養います。
8.Basic single stick practice - シングルスティックの基本練習 -
8-1.9つの構えと展開
構え①右肩の構え
切り下ろし等に展開します。
切り下ろし等に展開します。
構え②左腰の構え
切り上げ等に展開します。
切り上げ等に展開します。
構え③防御の構え
斜め切り上げ等に展開します。
斜め切り上げ等に展開します。
構え④右腰の構え
ソンキット→アバニコ→切り下ろし等に展開します。この構えから後ろから打つ展開も可能です。
ソンキット→アバニコ→切り下ろし等に展開します。この構えから後ろから打つ展開も可能です。
構え⑤左肩の構え
水平斬り等に展開します。
水平斬り等に展開します。
構え⑥地面にスティックをつけ体を開く構え
斜め切り上げ等に展開します。
斜め切り上げ等に展開します。
構え⑦右突きの構え
直突き、目の高さでの回し突き等に展開します。頭の後ろを遠し、各種の斬り、打ちに展開します。
直突き、目の高さでの回し突き等に展開します。頭の後ろを遠し、各種の斬り、打ちに展開します。
構え⑧左突きの構え
相手の目に向ける突きの構えです。ソンキット→アバニコに展開します。どの部分からでも9つの構えに戻れるような構えです。
相手の目に向ける突きの構えです。ソンキット→アバニコに展開します。どの部分からでも9つの構えに戻れるような構えです。
構え⑨スティックを地面につけ中心線を置く構え
スティックが中心を通るように振ります。
スティックが中心を通るように振ります。
8-2.12連続ストライク
①右ストライク
②左ストライク
③ドブレアップ
④ドブレダウン
⑤ソンキット
⑥アバニコ
⑦逆アバニコ
⑧バンダ
⑨大きくゼロ(0)の手
⑩小さくゼロ(0)
⑪バンダ
⑫逆側ゼロ
9.Kali Eskrima Arnis - Sinawali シナワリ -
9-1.シナワリ(シングル・シナワリ)
シナワリとは拍子、間合い、刃筋、反射を作る訓練です。まずスティックを両肩にコメカミを狙い打つ、次に腰の高さを打ちます。常に打っていないスティックの手は肩へ戻します。打ち始めたら前進、後退を加えて打ちながら動きを入れていきます。
9-2.シナワリバヌントゥカン
スティックを外してシナワリを素手で行う応用です。バヌントゥカン(Panuntukan)とは、フィリピン武術の一部で、特にフィリピンのボクシング技術を指します。これは、アーニスやカリ、エスクリマといったフィリピン武術の一環として学ばれることが多いです。素手の場合は相手のパンチを想定して1動作で斬り下ろし、別の手でパンチに展開する、もしくは位置を変え相手を固めます。固める場合は相手のパンチを斬り下ろした後、後ろ足でサイドに入り、相手の肘をコントロールします。前足の可裕加減で相手の腕全体をコントロールします。反対のパンチが来ても同じ手の動きで対応できます。
9-3.ダブルシナワリ
1打目をコメカミを打ち、2打目を膝、3打目を反対のコメカミを打ちます。この時打ってない手は常に肩に戻します。下段を打ち、続けてこめかみ打ちです。常にお互いの中心でスティックが合わさるように打ちます。徐々にスピードをあげ、前進、後退の動きを加えていきます。
9-4.ダブルシナワリバヌントゥカン
現在制作中…